大阪高等裁判所 昭和33年(ネ)187号 判決
大阪中央信用金庫
控訴人において本件手形は訴外株式会社富士塗装機製作所が被控訴人(大阪中央信用金庫)に取立委任の趣旨で裏書をしたものであると主張する点について。
本件手形に「当代」の記載のあることは当事者間に争いがなく、成立につき争いない甲第一号証によると、本件手形面欄外に右「当代」の記載の外に「番号四〇七」および被控訴人の名称の記載のあることが認められるが、当審鑑定人木村良夫の鑑定の結果によると、金融機関が単に取立委任を受けた手形に対しては手形面欄外に「当代」、「番号」および「所持人である金融機関の名称」を記載する取扱いになつていて、「当代」とは「当所代金取立手形」の略称であり、「番号」はその金融機関における事務処理のための番号であること。しかし右記載のある手形が必ずしも単に取立委任を受けたもののみであると推定することはできないこと。なぜならば金融機関が担保として受けた手形についても、その手形の満期に交換呈示するまで「当代番号」の表記をして処理し、その手形の渡り金をもつて債権決済に充当する場合もあるからであること。この担保として手形を受けた場合、「当代」の記載をする代りに、「別口代手」、「担手」、「商手」等の記載をすることもあるが、これらは金融機関によつて異なり一定していないこと、従つてこの「当代」等の記載そのものは金融機関における事務取扱の内部処理のための表示にすぎないものであることがいずれも認められる。従つて、本件手形に「当代番号」の記載があることのみをもつてしては、訴外会社の裏書が取立委任のために被控訴人に対してなされたものであると認めることはできず、他に右事実を認めるに足る証拠はなく、かえつて原判決挙示の各証言および当審証人石川直一の証言によると、本件手形は被控訴人が訴外会社から債権の担保のために裏書譲渡を受けたものであると認められることは原判決理由に説示するとおりであるから、控訴人の右主張は採用することができない。
以上のとおりであるから、控訴人は被控訴人に対し本件手形金一、〇〇〇、〇〇〇円およびこれに対する満期である昭和三一年一二月一五日から右支払ずみまで手形法所定の年六分の割合による法定利息の支払をなすべき義務がある。